全国的に交通事故は減少傾向ですが、自転車事故は増加の一途をたどっています。 令和4年の統計で交通事故全体に占める自転車が関わる事故の割合は23.3%で過去20年間で最も高い数値となっています。これに伴い交通ルールを無視する自転車利用者に対する批判・指導取締りの強化を求める声が高まり、令和6年(2024年)11月に道路交通法が改正されました。自転車運転中にスマートフォン等を使用する「スマホながら運転」の罰則が強化され「自転車の酒気帯び運転」が新たに罰則の対象とされます。自転車の酒気帯び運転に関しては、運転をした本人はもちろん、酒気帯び運転をするおそれがある者に対し酒類を提供した者等、酒気帯び運転をほう助した者にも罰則が科されます。
自転車スマホながら運転の罰則
自転車運転中に、停止している時を除き通話(ハンズフリーは対象外)や画面を注視することは禁止されています。11月からは罰則規定が強化されます。
- 10月までスマホながら運転・・・5万円以下の罰金
- 11月からスマホながら運転をした場合・・・6か月以下の懲役又は10万円以下の罰金
- 11月からスマホながら運転で事故を起こした・・・1年以下の懲役又は30万円以下の罰金
自転車酒気帯び運転、ほう助の罰則
あまり知られていませんが、これまでも自転車の「酒酔い運転」の罰則として5年以下の懲役又は100万円以下の罰金という厳しい規定がありました。11月からは「酒気帯び運転」も新たに罰則の対象となります。
令和6年11月からの自転車の酒気帯び運転に関する罰則内容
- 酒気帯び運転・・・3年以下の懲役又は50万円以下の罰金
- 自転車の飲酒運転をするおそれがある者に自転車を提供し、その者が自転車の酒気帯び運転をした場合・・・自転車の提供者に3年以下の懲役又は50万円以下の罰金
- 自転車の飲酒運転をするおそれがある者に酒類を提供し、その者が自転車の酒気帯び運転をした場合・・・酒類の提供者に2年以下の懲役又は30万円以下の罰金
- 自転車の運転者が酒気を帯びていることを知りながら、自転車で自分を送るよう依頼して同乗し、自転車の運転者が酒気帯び運転をした場合・・・同乗者に2年以下の懲役又は30万円以下の罰金
モペットの原付バイク明確化
また、ペダル付き原動機自転車(通称モペット)は、50CC以下の原付バイク(原動機付自転車)とされていましたが、ペダルのみの走行でも原付バイク扱いになる事が明記され、以下のルールが厳格に適用されます。
- 原動機付自転車免許の取得・・・無免許の場合、3年以下の懲役または50万円以下の罰金 違反点数25点
- ヘルメットの着用、・・・違反の場合、違反点数 1点
- ナンバープレートの取り付け・・・違反の場合、5万円以下の罰金
- 自賠責保険の加入・・・未加入の場合、1年以下の懲役または50万円以下の罰金
- 歩道、路側帯、自転車道の走行は原則不可・・・違反の場合、3か月以下の懲役または5万円以下の罰金
- 整備不良、保安装置の取り付け・・・違反の場合、3か月以下の懲役または5万円以下の罰金
参考資料:政府広報オンライン 『2024年11月自転車の「ながらスマホ」が罰則強化!「酒気帯び運転」は新たに罰則対象に!』
大阪府警察「『ペダル付き原動機付自転車』について」
警察庁「改正道路交通法の概要等(ペダル付き原動機付自転車に関する規定の整備)について」